はじめてのセミナー講師、緊張しないための準備と当日の流れ
先に答えを伝えると、緊張をなくすことよりも、緊張しても進められる準備をすることが近道です。
セミナーの講師を頼まれた。うれしい反面、人前で話すことに慣れていなくて不安。そんな声をよく聞きます。
この記事では、はじめて講師を務める人に向けて、準備の進め方をまとめました。読めば、当日までに何をすればいいかが具体的にわかります。
緊張の正体
多くの緊張は「うまく話せるか」ではなく「うまくいかなかったらどうしよう」という、先の見えなさから生まれます。当日の流れが見えていれば、緊張はかなり和らぎます。一言一句間違えずに話そうとするほど、緊張は強くなります。多少つまずいても、伝えたいことが伝われば十分だと考えましょう。
緊張は悪いことではない
緊張していると、うまく話せていない証拠のように感じてしまうかもしれません。ですが、適度な緊張には集中力を高めてくれる働きもあります。
緊張がまったくない状態より、少し緊張しているほうが声に張りが出ます。聞き手にも伝わりやすくなることが多いのです。自分を責めるのではなく、「ちゃんと準備してきたからこそ、うまくやりたいと思っている証拠だ」と考え直してみましょう。
前日までにできること
当日いきなり緊張と向き合うのではなく、前日までに気持ちを整えておくと不安がやわらぎます。持ち物は前日のうちにそろえ、会場までの道のりや所要時間も確認しておきましょう。
こうした準備の積み重ねが、「わからないことがない」という安心感につながります。当日の朝は早めに起きて、余裕を持って動けるようにしておきましょう。バタバタした状態で会場に向かうと、それだけで緊張が増してしまいます。
資料づくりのコツ
詰め込みすぎた資料は、話す側も聞く側も疲れさせてしまいます。一番伝えたいことを3つほどにしぼりましょう。スライドを読み上げるだけの時間は、聞き手の集中力を奪います。
図や写真を活用し、言葉で補う形を意識しましょう。1枚のスライドに情報を入れすぎると、聞き手はどこを見ればいいか迷ってしまいます。1枚1メッセージを心がけると、話も整理されます。
緊張すると、話すスピードは自然と速くなりがちです。いつもより少し遅いかな、と感じるくらいがちょうどよい速さです。沈黙は聞き手が考える時間でもあります。無理に埋めようとせず、間を味方につけましょう。
冒頭で興味を引けるかどうかが、そのあとの集中力を左右します。身近な問いかけから始めると、参加者の意識がこちらに向きます。
文字の大きさと配色
会場の後ろの席からでも読めるように、文字は思っているより大きめにしましょう。目安は、タイトル40ポイント以上、本文24ポイント以上です。
背景と文字の色は、はっきり分かれる組み合わせを選びましょう。似たような色同士を組み合わせると、画面に映したときに読みづらくなることがあります。
配る資料と画面に映す資料は分けて考える
画面に映すスライドと、手元に配る資料は同じものである必要はありません。画面用は文字を減らして図を中心にし、配る資料には詳しい説明を書き足しておきましょう。
そうすれば、参加者はあとから読み返しても内容を思い出しやすくなります。すべてを画面に詰め込もうとすると、かえって伝わりにくくなるので気をつけましょう。
資料を作り終えたら、印刷して紙の状態でも見直してみましょう。パソコンの画面では気づかなかった誤字や、文字の詰まりすぎに気づくことがよくあります。
資料づくりは、本番の1週間ほど前に始めるのがおすすめです。前日にあわてて作ると、伝えたいことの整理が浅くなりがちです。余裕を持って取りかかれば、話の流れを何度も見直す時間が生まれます。
練習の仕方
声に出して、実際に時間を計りながら練習しましょう。頭の中で組み立てるのと、声に出すのとでは、かかる時間がまったく違います。できれば、実際に話す場所と近い環境で練習しておくと、当日の感覚のズレが少なくなります。
練習は、内容を覚えるためではなく、自分の声に慣れるために行う。
自分の話し方を録音して聞き返すと、話すスピードや口ぐせに気づくきっかけになります。話し合いを取り入れる場合は、時間配分をあらかじめ決めておきましょう。話し合いの時間は長引きやすいので、終了2分前に声をかけるなど、区切りの合図を決めておくと安心です。
誰かに聞いてもらう
ひとりで練習するだけでなく、家族や職場の人など、身近な人に一度聞いてもらうのもおすすめです。話している本人は気づきにくい「早口になっている部分」や「説明が飛んでしまっているところ」を、聞き手側から教えてもらえます。
感想をもらうときは「わかりにくかったところはどこか」を具体的に聞くと、直すべき点がはっきりします。
練習しすぎて疲れてしまわないように
練習のしすぎには注意が必要です。当日の朝まで詰め込むと、声が枯れたり、頭が回らなくなったりすることがあります。前日までに練習を終えておき、当日は資料を軽く見返す程度にとどめておくと、本番に向けて気持ちも体もちょうどよく整えられます。
当日の流れと会場の準備
- 会場入りは開始1時間前を目安に
- 機材(マイク・プロジェクター)の接続確認
- 資料の配布・投影テスト
- 開始5分前に、参加者への声かけ
早めに会場入りできれば、機材トラブルにも落ち着いて対応できます。スクリーンの文字が小さすぎないか、実際に一番後ろの席から確認しておきましょう。声の通り方は会場ごとに大きく異なるので、本番前に実際の声量でテストしておくと安心です。座席配置を変えられる会場だと、当日の進め方に幅が出ます。
忘れやすい持ち物
- 資料データを入れたUSBメモリー(念のため予備も持っておくと安心)
- パソコンとプロジェクターをつなぐ変換アダプター
- 飲み物(声が枯れてしまったときのために)
- 時計やタイマー(スマートフォンだと通知が気になるので、別に用意しておくと安心)
特にパソコンとプロジェクターをつなぐ変換アダプターは、会場の機種によって形が異なることがあります。事前に会場へ確認するか、いくつかのタイプを持っていくと、当日あわてずにすみます。名刺や配布物の残数も、会場入り後にもう一度数えておくと安心です。
会場に着いたら、まず控室やお手洗いの場所を確認しておきましょう。開始直前になって場所がわからず探し回ると、それだけで気持ちが落ち着かなくなります。
進行中に何かあったときの連絡方法も、主催者側の担当者に事前確認しておくと安心です。当日の緊急連絡先をメモに書いて持っておくと、いざというときにあわてずにすみます。
質疑応答が不安なとき
すべての質問に完璧に答える必要はありません。特にはじめての登壇では、答えに詰まる場面を想像して身構えてしまうものです。答えられないときは「持ち帰って確認します」と正直に伝えれば十分です。質疑応答に不安を持つ人は多いですが、その一言で対応できます。
「わかりやすさ」「役に立ったか」の2つだけでも、簡単なアンケートを取れば、次回への改善点が見えてきます。もらった声のうち、共通して多かった意見から優先的に取り入れましょう。当日参加できなかった人にも、資料をあとから共有すると喜ばれます。次回への関心にもつながるでしょう。
質問が出ないときの対応
誰も手を挙げてくれない、という状況もよくあります。そんなときは、こちらから「たとえばこんな質問をよくいただきます」と話を振ってみましょう。参加者の緊張がほぐれ、質問しやすい空気が生まれます。最初のひとつさえ出れば、そのあとは自然と質問が続きやすくなるものです。
厳しい質問をされたとき
ときには、答えにくい質問や、少し厳しい意見をもらうこともあります。そんなときほど、まずは「ご意見ありがとうございます」と、いったん受け止める言葉をはさみましょう。その場ですぐに言い返そうとせず、落ち着いて考える時間を作ることで、感情的なやり取りになるのを防げます。
よくある質問
人数はどれくらいから緊張する?
人数よりも、顔が見える距離かどうかのほうが影響します。会場の広さと座席配置も、あわせて確認しておきましょう。
台本は用意すべき?
一字一句の台本より、話の流れを示す簡単なメモのほうが、自然な話し方になりやすいです。
声が震えてしまいそうで心配です
最初のひとことだけ、あらかじめ決めておきましょう。話し始めさえ乗り越えれば、あとは自然と落ち着いてきます。
時間が余ってしまったら?
質疑応答の時間を長めに取るか、実例をひとつ多めに用意しておくと、余裕を持って対応できます。
謝礼や交通費はどう決める?
依頼を受ける段階で、金額と支払いの時期を確認しておきましょう。遠方への登壇では、交通費や宿泊費の負担についても、事前に取り決めておくと安心です。
資料は当日配るべき?事前に送るべき?
内容を先に知られたくない場合は当日配布、予習してきてほしい場合は事前送付が向いています。セミナーの目的に合わせて選びましょう。
服装はどれくらいきちんとしたほうがいい?
参加者より少しだけきちんとした服装を意識すると、講師としての印象が伝わりやすくなります。長時間立って話すことも多いので、動きやすさもあわせて選びましょう。
まとめ
緊張をなくすことよりも、緊張しても進められる準備をすることが大切です。
資料と練習、当日の流れ。この3つを整えて、はじめての登壇に臨んでみてください。
今日紹介した準備を、ひとつずつ積み重ねていけば、当日の不安は少しずつ小さくなっていきます。完璧を目指すのではなく、できる準備を着実に済ませていきましょう。はじめての登壇でも、正しい準備をすれば大きな失敗にはつながりません。準備を重ねた分だけ、当日は落ち着いて話せるようになります。