アイデアが出ないときに試したい、ブレインストーミングの進め方
アイデアが出ないのは、才能の差ではなく、進め方の差です。
新しい企画を考えようにも、会議室でうんうん唸るばかりで、アイデアが出てこない。そんな経験は、多くのチームが抱えています。
この記事では、アイデアが自然と生まれる話し合いの進め方を紹介します。読めば、次の会議からすぐに試せる工夫が見つかるはずです。
アイデアが出ない本当の理由
アイデアが出ない本当の理由は、「否定されるかもしれない」という空気です。この空気があると、人は発言そのものをためらってしまいます。誰かが話すのを待つ間にも、発言はさらに減っていきます。最初のひとことを、誰が出すかが分かれ目です。
たとえば「こんなことを言ったら的外れかもしれない」と思うと、頭に浮かんだ考えも口に出す前に消えてしまいます。これは特別なことではなく、誰にでも起きる自然な反応です。話し合いを始める前に「今日は思いついたことを全部出してみよう」とひとこと声をかけるだけでも、場の空気は変わります。
アイデアが出ない会議によくある特徴
声の大きい人ばかりが話している、資料を読み上げるだけで終わる、否定的な意見が先に出る。こうした会議では、参加者は次第に「言ってもむだだ」と感じるようになり、発言そのものが減っていきます。意外にも、小さな意見に「いいね」とひとこと反応が返ってくるだけの場では、次のひとことが出やすくなります。こうした空気を変えるきっかけは、いつも進行役のひとことです。
はじめる前のルール
- 出たアイデアを、その場で否定しない
- 質より量を優先する
- 他人のアイデアに乗っかってよい
- 時間を区切る(だらだら続けない)
このルールを最初に共有しておくだけで、発言のハードルはぐっと下がります。進行役は、声の大きい人ばかりが話さないよう、発言の少ない人にも順番に話を振りましょう。一見関係のない話題からも、思わぬヒントが見つかることがあるので、ある程度は自由に泳がせる余裕を持つことも大切です。
たとえば「出たアイデアを否定しない」というルールは、「面白いね、そこからどう広げられるかな」と言いかえるだけで実践できます。
「質より量を優先する」というのは、1つの案にこだわらず、思いついたことをどんどん書き出していく姿勢のことです。時間を区切ることも大切で、あらかじめ30分と決めておけば、話し合いがだらだら続いて全員が疲れてしまうことを防げます。
進め方の型
いきなり話し合うと、声の大きい人の意見に流されがちです。まず5分ほど、ひとりで書き出す時間をつくりましょう。出たアイデアは、その場で付箋やホワイトボードに書き出します。目に見える形にすると、話がかみ合いやすくなります。誰の発言かにこだわらず、内容そのものに注目しやすくなる点も見逃せません。
よいアイデアより先に、たくさんのアイデアを目指す。質は、あとから選べばよい。
新商品や新企画のアイデア出しなら、実現できるかどうかは後回しにして、まず数を出すことを優先しましょう。課題を解決するための話し合いなら、今困っていることを先に共有してから始めると、話がぶれにくくなります。
実際の流れの例
たとえば新しい商品のアイデアを考える会なら、まず5分間、ひとりで思いついたことを紙に書き出しましょう。次に、ひとりずつ順番に発表し、進行役はそれを付箋に書いてホワイトボードに貼っていきます。
全員が出し終えたら、似ている意見を近くに集めて、さらに話し合いながら広げましょう。この流れなら、一部の意見だけで話が進んでしまう心配が少なくなります。書き出す時間を先に取るか取らないか、それだけの違いです。
アイデアを広げる質問
制約を一度外して考えると、思いがけない発想が出てくることがあります。まったく違う業界の成功例を、自分たちの状況に置き換えて考えてみましょう。あえて「失敗する方法」を考えてみると、逆に成功のヒントが見えてくることがあります。
「置き換える」「組み合わせる」のように、決まった見方で今あるアイデアを見直す方法もあります。ゼロから考えるより、きっかけをつかみやすいでしょう。中心にテーマを置いて、まわりのマスをうめていく方法も、ひとつのテーマから機械的にアイデアの数を増やすのに役立ちます。
たとえば「置き換える」という見方なら、いつも紙で配っている資料をタブレットに置き換えたらどうなるでしょうか。「組み合わせる」という見方なら、人気のある2つのサービスをかけ合わせたら何ができるかを考えます。こうした決まった視点で見直していく方法は、思いつきに任せるよりもアイデアの数を安定して増やせます。
マス目を使ってテーマを広げる方法も同じ考え方です。中心にテーマを書き、まわりの8つのマスに関連する言葉を埋めていきます。埋まった言葉をさらに広げていくと、最初は思いつかなかった角度からアイデアが出てくることがあります。ひとりで考えるときにも使いやすい方法なので、話し合いの前の下調べとしてもおすすめです。
行き詰まったときの立て直し方
考え続けても出ないときは、無理に続けず、5分ほど休憩を取りましょう。頭がリセットされ、新しい見方が生まれやすくなります。議論に加わっていなかった人の意見こそ、思わぬ突破口になるでしょう。
付箋やホワイトボードを自由に使える広さがあると、考えを見える形にしやすくなります。いつもの会議室が手ぜまなら、環境を変えてみましょう。見慣れたオフィスを離れるだけで、考え方も変わりやすくなります。気分転換をかねて、外部のスペースを試してみるのもおすすめです。窓から外の景色が見えるだけでも、気分が切り替わることがあります。
たとえば1時間ずっと同じ部屋で話し合っていると、だんだん同じような意見しか出なくなることがあります。そんなときは、いったんひとりで考える時間に戻したり、まったく関係のない雑談を少しはさんだりするのも効果的です。頭を切り替える時間をつくることで、また新しい発想が生まれやすくなります。立ったまま話す、飲み物を片手に話すなど、姿勢を変えるだけでも空気が変わることがあります。
まとめる段階でのコツ
出しきったあとは、似たアイデアをグループ分けしていきます。数が多いときほど、グループ分けが全体を見わたす助けになります。最後に、実現できそうなものを、みんなで投票してしぼりこみましょう。
グループ分けと投票のコツ
付箋を並べながら「これとこれは似ているね」と声に出して確認していくと、参加者全員が同じ理解を持ちやすくなります。グループにひとことで呼べる名前をつけると、それぞれの案がどんな方向を向いているかが見えやすくなり、投票のときにも選びやすくなります。
投票は、ひとり3票までのように数を決めておくとよいでしょう。数を決めずに投票すると、特定の案に票が集中しすぎて、他の可能性を見落としてしまうことがあります。あらかじめ上限を決めておくと、いろいろな案に自然と目が向きやすくなります。
絞り込んだアイデアは、誰がいつまでに次の一歩を取るかを決めておきましょう。決めただけで終わらせないための工夫です。いきなり大きく展開せず、まずは小さく試して反応を見るほうが、うまくいかなかったときの影響を抑えられます。
よくある質問
何人くらいが適正人数?
4〜6人ほどが、意見の出やすさとまとめやすさのバランスがよいでしょう。人数が少なすぎると出てくる意見のはばが狭くなり、多すぎると発言できないまま終わる人が出てきます。人数が多い場合は、小さなグループに分けて話し合ってから、全体で共有すると全員が発言しやすくなります。
オンラインでもできる?
付箋機能のあるツールを使えば可能ですが、個人で書き出す時間はオンラインでも対面でも変わらず大切です。画面越しだと発言のタイミングをつかみにくいという声もあるので、話す順番をあらかじめ決めておくと進めやすくなります。
いいアイデアが出なかったら?
1回で結論を出そうとせず、出たアイデアを持ち帰り、次回に磨き直すという進め方もあります。1回の話し合いで満足のいく答えが出ないのは、よくあることです。むしろ、一度で終わらせようと無理に答えを急ぐほうが、あとから見直すと納得できない案になりがちです。何回かに分けて考え直す前提で計画しておくと、気持ちにも余裕が生まれます。
意見が対立してしまったときは?
その場で決めようとせず、両方の案を一度書き出してから、判断の基準を決めて選ぶと落ち着いて進められます。「どちらが正しいか」ではなく「何を大事にしたいか」という基準を先に決めておくと、感情的な言い合いになりにくいでしょう。たとえば「費用を抑えたいのか」「早く実現したいのか」を先に確認しておくだけでも、話し合いの方向がそろいやすくなります。
上司や年上のメンバーがいると発言しづらいのですが
役職を意識させない席の並びや、最初に名前を伏せて書き出す時間を設けると、発言のハードルが下がります。
時間はどれくらい確保すればいい?
初めて試す場合は1時間ほど確保すると、ひとりで書き出す時間や話し合う時間を余裕を持ってとれます。慣れてくれば、30分でも十分に進められるようになります。
アイデアが出すぎて絞り込めないときは?
無理にその場で1つに決めようとせず、上位いくつかを残して、持ち帰って検討する時間を設けるとよいでしょう。数が多いこと自体は、決して悪いことではありません。
まとめ
アイデアが出ないのは、才能の差ではなく、進め方の差です。
最初から完ぺきな話し合いを目指す必要はありません。ここで紹介したルールを1つ試すだけでも、次の会議の空気は少しずつ変わっていきます。
ルールと型を意識して、次の企画会議を試してみてください。